いじめ防止基本方針

はじめに

平成25年6月28日にいじめ防止対策推進法(以下「法」という。)が公布され、その日から起算して3月を経過した日から施行された。そのため、国が定めたいじめ防止基本方針を参酌し、学校の実情に応じた同様の基本的な方針の策定が求められている。また、学校が講ずべきいじめの防止等に関する措置や重大事態への対処等について規定している。さらに、現在、北海道子どものいじめ防止に関する条例(以下「条例案」という。)の制定に向けて準備が進められている。
いじめは、いじめを受けた子どもの教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命または身体に重大な危険を生じさせる恐れがある。
高知小中学校いじめ防止基本方針は、子どもの尊厳を保持する目的の下、本校に在籍する子どもの保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、本校及び本校の教職員が法第13条及び条例案第9条第1項の規定に基づき、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、本校に在籍する子どもがいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処するための取組を総合的かつ効果的に推進するために策定するものである。

1 いじめ防止等の基本的な考え

(1) いじめの防止等の取組の目的
本校のいじめの防止等の取組は、すべての子どもが安心して学校生活を送り、様々な活動に取り組むことができることを目的とする。そのため、学校の内外を問わず、すべての子どもがいじめを行わず、いじめを認識しながら放置することがないよう、いじめはいじめられた子どもの心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることについて、子どもが十分に理解できるようにすることが重要である。とりわけ、いじめを受けた子どもの生命・心身を保護することを最優先にすることを認識し、本校に在籍する子どもの保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図り、いじめの問題を克服する。
(2) いじめの定義と態様
法第2条において「いじめ」とは、『児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。』と定義されている。
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた子どもの立場に立つことが重要である。いじめには、身体的な影響のほか、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことを無理矢理させられたりすることなど、多様な態様がある。
具体的ないじめの態様は、次のようなものがある。
1. 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
2. 仲間はずれ、無視をされる。
3. 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする、ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
4. 金品をたかられる、金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
5. 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
6. パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。など
また、外見的にはけんかのように見えることでも、いじめられた子どもの感じる被害性に着目した見極めが必要である。加えて、いじめられていても本人がそれを否定する場合が多々ある。
こうしたことから、当該の子どもの表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認するとともに、行為が起こったときのいじめられた子ども本人や周辺の状況等を客観的に確認する必要がある。
一方、いじめの中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、子どもの生命、身体または財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取る必要がある。
(3) いじめ防止等に対する基本姿勢
いじめはどの子どもにも起こりうるという事実を踏まえ、全ての子どもを対象に、いじめに向かわせないための未然防止に取り組む。
1. 子どもが心の通じ合うコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できる授業づくりや集団づくりを行う。
2. 集団の一員としての自覚や自信を育むことにより、いたずらにストレスにとらわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土をつくる。
3. 教職員の言動が、子どもを傷つけたり、他の子どもによるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。

2 いじめ防止等のための取組

人間関係に起因するトラブルが起きることも含めて集団である。子どもは、トラブルを回避するために自分はどうすべきか、集団内の他者から認められる喜び、自ら進んで他者や集団に貢献することの誇りなど、今、まさに学んでいる存在である。 そうした集団における体験を通して確実に学び合う人間関係を深めるとともに、望ましく調整していく力を身に付けることが、いじめに向かわない子どもを育てることにつながる。そのため、日々の授業をはじめとする学校生活のあらゆる場面において、他者とかかわる機会を工夫していく。
(1) いじめについての共通理解
1. いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意点などについて、校内研修や職員会議で周知を図り、平素から教職員全員の共通理解を図る。
2. 子どもに対して、朝会や学級活動などで校長や学級担任が、日常的にいじめの問題について触れ、「いじめは人間として絶対に許されない」との雰囲気を学校全体に醸成する。
3. 日ごろから、子どもと教職員がいじめとは何かについて具体的な認識を共有する手段として、何がいじめなのかを具体的に列挙して目につく場所に掲示する。
(2) いじめに向かわない態度・能力の育成
1. 授業はもとより日常実践を通して、自他の考え方・感じ方・見方の異同を確かめながら、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重する態度を養う。
2. 授業はもとより日常実践に子どもが話し合う活動を意図的、計画的に設定し、子どもが円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育てる。
3. 学校の教育活動全体を通じた道徳教育や人権教育の充実、読書活動・体験活動などの推進により、子どもの社会性を育む。
4. 社会体験・生活体験の機会を設け、他人の気持ちを共感的に理解できる豊かな情操を培う。
(3) いじめを防止する指導上の留意事項
1. 授業についていけない焦りや劣等感などが過度なストレスとならないよう、一人一人を大切にした分かりやすい授業づくりを進めていく。
2. 学級や学年、部活動等の人間関係を把握して一人一人が活躍できる集団づくりを進めていく。
3. 運動・スポーツや読書などでストレス発散したり、誰かに相談したりするなど、ストレスに適切に対処できる力を育んでいく。
4. 教職員の不適切な認識や言動が、子どもを傷つけたり、他の子どもによるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方には細心の注意を払う。
5. 障害(発達障害を含む)について、適切に理解した上で、子どもに対する指導に当たる。
(4) 自己有用感や自己肯定感の育成
1. 学校の教育活動全体を通じ、子どもが活躍でき、他者の役に立っていると感じ取ることのできる機会を提供し、自己有用感を高める。
2. 困難な状況を乗り越えるような体験の機会などを積極的に設ける。
(5) 子ども自らがいじめについて学ぶ機会の設定
1. 子ども自らがいじめの問題について学び、そうした問題を子ども自身が主体的に考え、子ども自身がいじめの防止を訴える取組を推進する。
2. 教職員は、子どもがいじめの未然防止にかかわる取組の意義を理解し、主体的に参加できる活動になっているかどうかをチェックする。

3 いじめの早期発見・早期対応

いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくいことを認識する必要がある。したがって、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑い、早い段階から複数の教職員で的確にかかわっていく。日ごろから子どもを見守り、信頼関係の構築等に努め、子どもが示す小さな変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つとともに、教職員相互、小中相互が積極的に子どもの情報交換を行うとともに、保護者からの情報を共有することが大切である。
(1) 定期的なアンケート調査や教育相談の実施
1. いじめの実態把握に取り組むとともに、子どもが日ごろからいじめを訴えやすい雰囲気をつくる。
2. 家庭と連携して子どもを見守り、健やかな成長を支援していく。
(2) いじめに関して相談できる体制の整備
1. 子ども及びその保護者、教職員が、抵抗なくいじめに関して相談できる体制を整える。
2. 子どもや保護者の悩みを積極的に受け止められているか、適切に機能しているかなど、定期的に体制を点検する。
3. 教育相談等で得た、子どもの個人情報については、対外的な取扱いの方針を明確にし、適切に扱う。
4. 休み時間や放課後の雑談の中などで子どもの様子に目を配る。
5. 個人面談や家庭訪問等の機会を活用して交友関係や悩みを把握する。
6. いじめに関する情報については学級担任が生徒指導部生活指導係と連携して記録化するとともに、学校の教職員全体で共有する。

4 いじめ問題に対応する組織

(1) いじめの未然防止、いじめの早期発見等に関する取組を生徒指導部生活指導係が中心になって進める。
1. 学校のいじめ防止基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画を作成・実行・検証・修正する。
2. いじめの相談・通報の窓口となるよう学級担任、養護教諭と連携するとともに、保護者への啓発活動を行う。
3. いじめの疑いに関する情報や子どもの問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う。
4. いじめに関する定期的なアンケート調査を実施、分析、考察し、その結果を全教職員に提供する。
5. いじめの未然防止等の取組についてPDCAサイクルで検証する。
6. いじめの未然防止、早期発見の取組の進捗状況を評価する。
7. いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証と対応策を見直す。
(2) いじめへの対処等を組織的に対応するいじめ対策委員会を設置する。
1. いじめ対策委員会は、校長、教頭、生徒指導部長、当該の学級担任、養護教諭で構成し、教頭が招集する。
ア いじめの情報の迅速な共有
イ 関係のある子どもへの事実関係の聴取
ウ 指導や支援の体制・対応方針の決定
エ 保護者との連携と対応策の検討
2. 重大事態及び重大事態と同種の事態の発生の防止に資すると判断した場合、速やかに、厚岸町教育委員会に報告し、質問票の使用その他の適切な方法により重大事態等に係る事実関係を明確にするための調査を実施する。
3. 教職員は、ささいな兆候や懸念、子どもからの訴えを、抱え込まずに全て教頭に報告・相談する。
4. いじめ対策委員会に集められた情報は、個別の子どもごとに記録し、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図る。

5 教育相談体制の整備

いじめを未然に防止するためには、教育相談の機能を発揮させることが重要であり、学校が一体となって子どもの抱える悩みを見過ごすことなく、早期に発見し、悩みが深刻化しないよう組織的、かつ、きめ細かく支援することができる体制を構築していくことが重要である。
(1) 教育相談の組織
1. 生徒指導部長(生活指導係)は教育相談を効果的に推進するための連絡や調整等を行う。
(2) 教育相談の計画
1. 生徒指導部長(生活指導係)は、教頭の助言のもと、教育相談に関する全体計画、年間計画、具体的な実施計画を立案する。
(3) 心の成長を支える教育相談の推進
1. 学級の雰囲気づくり
ア 「伸び伸び振る舞える」「温かい」「協力的」「楽しい」「みんなが活躍する」といった雰囲気づくりを目指す。
イ 教員はどの子どもも分け隔てなく接するとともに、善悪の基準をはっきりと示し、子どもの生活を見守る。
2. 帰属意識の維持
どの子どもも学級に居場所があり、「先生が自分のことを心配し見守ってくれている」という気持ちが芽生えるようにする。
3. 心のエネルギーの充足
ア 自分の存在を認められ、大事にされている、守られていると感じる学校生活を体験させる。
イ 子どもなりに達成したことをよくほめ、認める。
4. 子ども理解へのかかわり
ア 子どもの家庭状況や学業成績、身体や行動上の問題など、しっかりとした子ども理解を図る。
イ どのような行動にも「そうせざるを得ない」理由があるという前提で、理解を図る。
ウ 主体的に考えさせ、自分で達成した喜びを体験させる。
5. 学習意欲の育成
ア 分からないときにはいつでも質問できる受容的な雰囲気をつくる。
イ 教員と子どもが相互的にやり取りできる授業形態などを工夫する。
ウ 子どもの興味関心を刺激する教材や授業方法を工夫する。
エ 意欲が湧くようなほめ言葉、認め言葉を工夫する。
オ 子どもの視野を広げ、未来へと目を向けさせ、社会で必要とされる知識や知恵を伝える。
6. 学業へのつまずきへの教育相談的対応
ア 学業のつまずきの原因を検討し学校教育の中で改善可能なものに取り組んでいく。
イ 保護者との面談によって学業の背景にある心理的背景や家庭状況を把握する。
ウ 必要に応じて関係機関の支援を受ける。
7. 教員の指導性
ア 教員はリーダーシップを発揮し、子どもの先頭に立ってモデルを示す。
イ 元気のない子ども、意欲に乏しい子どもに対しては、カウンセリング的な配慮でかかわる。

6 生徒指導体制の整備

校内の生徒指導の方針・基準を教員間で共有し、一人一人の子どもに対して、一貫性のある生徒指導を行うことのできる校内体制をつくる。
(1) 生徒指導の方針・基準の明確化
1. 基本的な生活習慣を含めて、生徒指導に当たっての方針・基準を明確にする。
2. 子どもの基本的な生活習慣や体力、学習習慣や学力、子ども間の人間関係、子どもと家庭・地域との関係など、実態を把握する。
3. 教職員と子どもとの信頼関係や人間関係を深める。
(2) 教職員による共通理解・共通実践
1. 学校の教育目標が「どのような子どもを育てるか」という共通理解を図る。
2. すべての教職員が共通理解した目標の下、子どもに対して、毅然とした粘り強い指導をする。
3. 教員は生徒指導の問題を一人で抱え込まず、組織的に取り組む。
4. 教職員間の信頼関係や温かい人間関係を常に心がけておく。
5. 子どもの年齢的な発達の段階だけでなく、性格的な差やLD・ADHD・高機能自閉症等の障害を踏まえた個々の子どもに応じた指導をする。
(3) 子どもの健全な成長の促進
1. 子どもの人間としての在り方や生き方に寄り添い、積極的・開発的な指導援助体制を確立する。
2. すべての教職員が子どもの性格特性や心身の発達課題などを十分に理解し、傾聴と受容及び感情の明確化などカウンセリング感覚のある指導援助を行う。
(4) 問題行動の発生時の迅速かつ毅然とした対応
1. 事態の内容や問題の背景を的確に把握するとともに指導援助の方向性を明確にする。
2. 子どもや保護者などへの周知及び説明をきめ細かく行う。
(5) 生徒指導体制の不断の見直しと適切な評価・改善
1. 教職員が自己評価や内部評価を計画的に行い、子ども及び保護者、関係機関などの意見や評価を十分に取り入れて改善策を検討する。
2. 評価結果や改善案などを積極的に公表するとともに、必要な助言や援助などを要請する。

7 校内研修

すべての教員がいじめにかかわる問題意識や未然防止についての指導の方針等を共有することが不可欠であり、それを着実かつ的確に遂行するためには、不断の研究と修養が必要である。とりわけ、多様な問題が生じる教育現場には、教員間の適切な連携による組織としての力量の向上が何よりも強く求められる。
(1) 校内における研修の実施
1. 学校を取り巻く状況の共通理解や子どもの人間関係にかかわる指導上の重点事項に関する協議
2. 生徒指導や教育相談に関する年間の計画や共通理解に関する協議
3. 事例に基づくいじめの対応や指導、その成果や課題に関する協議
4. 必要に応じた外部講師などを招聘した研修の実施
(2) 校外における研修会の活用
1. 初期層及び中期層の教員に望まれる生徒指導や教育相談に関する資質や能力の育成
2. 生徒指導や教育相談の担当者が求められる資質や能力の育成
3. 学級担任として身に付けたい生徒指導や教育相談の知識・情報やスキルの育成

8 いじめへの対処

いじめの発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的に対応し、記録を徹底する。被害の子どもを守り通すとともに、教育的配慮の下、毅然とした態度で加害の子どもを指導する。その際、謝罪や責任を形式的に問うことに主眼を置くのではなく、社会性の向上等、子どもの人格の成長に主眼を置いた指導を行う。また、教職員全員の共通理解の下、保護者の協力を得て、関係機関・専門機関と連携し、対応に当たる。
(1) いじめの発見・通報を受けたときの対応
1. 遊ぶふりや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止める。
2. 子どもや保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。
3. ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わりを持つ。
4. いじめられた子どもやいじめを知らせてきた子どもの安全を確保する。
5. 発見・通報を受けた教職員は一人で抱え込まず、直ちに教頭に報告するとともに、「いじめ対策委員会」で情報を共有し、迅速な初期対応を行う。
6. 「いじめ対策委員会」が中心となり、速やかに関係する子どもから事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。
7. 事実確認の結果は、校長が責任を持って厚岸町教育委員会に報告するとともに、被害及び加害の子どもの保護者に連絡する。
8. いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認めるときは、いじめられている子どもを徹底して守り通すという観点から、所轄警察署と相談して対処する。
9. 子どもの生命、身体または財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。
(2) いじめられた子どもまたはその保護者への支援
1. いじめられた子どもから、事実関係の聴取を行う。
2. いじめられている子どもが悪いのではないことをはっきりと伝える。
3. 子どもの個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して対応する。
4. 家庭訪問等により、迅速に保護者に事実関係を伝えるとともに、いじめた子どもの保護者との間で争いが起きることのないよう、事案に係る情報を保護者と共有する。
5. いじめられた子どもや保護者に対し、徹底して守り通すことや秘密を守ることを伝える。
6. 事態の状況に応じて、複数の教職員の協力の下、いじめられた子どもの安全を確保する。
7. いじめられた子どもにとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、いじめられた子どもに寄り添い支える体制をつくる。
8. いじめられた子どもが落ち着いて教育を受けられる環境の確保を図る。
9. 状況に応じて、心理や福祉等の専門家、教員経験者・警察官経験者など外部専門家の協力を得る。
10. いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い、折りに触れ必要な支援を行う。
11. 事実確認のための聴き取りやアンケート等により判明した情報を適切に提供する。
(3) いじめた子どもへの指導またはその保護者への助言
1. いじめたとされる子どもからも事実関係の聴取を行う。
2. いじめがあったことが確認された場合、組織的に、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。
3. 事実関係を聴取したら、迅速に保護者に連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対する継続的な助言を行う。
4. いじめられた子どもの保護者との間で争いが起きることのないよう、事案に係る情報を保護者と共有する。
5. いじめた子どもへは、いじめは人格を傷つけ、生命、身体または財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。
6. いじめの背景にも目を向け、当該子どもの安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。
7. 子どもの個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して対応する。
8. いじめを受けた児童生徒等が安心して教育を受けることができるよう、必要があると認めるときは、いじめを行った児童生徒についていじめを受けた児童生徒が使用する教室以外の場所において学習を行わせる。
9. いじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、特別の指導計画による指導のほか、さらに出席停止や警察との連携による措置も含め、毅然とした対応をする。
10. いじめた子どもが自ら行為の悪質性を理解し、健全な人間関係を育むことができるよう成長を促すため、教育上必要があると認めるときは、子どもに対する懲戒を与える。
(4) いじめが起きた集団への働きかけ
1. いじめを見ていた子どもに対しても、自分の問題として捉えさせる。
2. いじめを止めさせることはできなくても、誰かに知らせる勇気を持つよう指導する。
3. はやしたてるなど同調していた子どもに対しては、それらの行為はいじめに加担する行為であることを理解させる。
4. 集団(学級・児童生徒会・部活等)で話し合い、いじめは絶対に許されない行為であり、根絶しようという態度を行き渡らせる。
5. 被害の子どもと加害の子どもを始めとする他の子どもとの関係を修復し、双方の当事者や周りの者全員が、好ましい集団活動を取り戻し、新たな活動に踏み出すことができるよう指導する。
6. 全ての子どもが、集団の一員として、互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できる集団づくりを進めていく。
(5) ネット上のいじめへの対応
1. ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちに削除する措置をとるよう保護者に助言する。
2. 名誉毀損やプライバシー侵害等があった場合、プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じるよう保護者に助言する。
3. 必要に応じて法務局または地方法務局の協力を求めるよう保護者に助言する。
4. 子どもの生命、身体または財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。
5. 早期発見の観点から、厚岸町教育委員会と連携し、ネット上のトラブルの早期発見に努める。
6. 子どもが悩みを抱え込まないよう、保護者に法務局・地方法務局におけるネット上の人権侵害情報に関する相談の受付など、関係機関の取組について周知する。
7. 学校における情報モラル教育を進めるとともに、保護者においてもこれらについての理解と協力を求める。

9 重大事態への対処

重大事態及び重大事態と同種の事態の発生の防止に資すると判断した場合、校長は速やかに、厚岸町教育委員会に報告し、質問票の使用その他の適切な方法により重大事態等に係る事実関係を明確にするための調査を実施する。
(1) 重大事態の発生と調査
1. 重大事態とは、次の事項とする。
ア いじめにより当該学校に在籍する子どもの生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
「重大な被害」とは、次のことを想定する。
(ア) 子どもが自殺を企図した場合
(イ) 身体に重大な傷害を負った場合
(ウ) 金品等に重大な被害を被った場合
(エ) 精神性の疾患を発症した場合など
イ いじめにより当該学校に在籍する子どもが相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
「相当の期間」については、年間30日を目安とするが、子どもが一定期間、連続して欠席しているような場合には、迅速に調査に着手する。
2. 質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う。
3. 重大事態に関する調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた子ども及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供する。
4. 重大事態に関する調査を行う場合、校長は、調査及び情報の提供について、厚岸町教育委員会に報告し、必要な指導及び支援を受ける。
5. 子どもや保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立てがあったときは、その時点で重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。
(2) 事実関係を明確にするための調査の実施
1. 客観的な事実関係を速やかに調査する
いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情、子どもの人間関係の問題状況、学校、教職員がどのように対応したかなど。
2. いじめられた子どもからの聴き取りが可能な場合
ア いじめられた子どもから十分に聴き取るとともに、在籍子どもや教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う。
イ 被害の子どもの学校復帰が阻害されることのないよう、いじめられた子どもや情報を提供してくれた子どもを守ることを最優先とした調査とする。
ウ いじめられた子どもの状況にあわせた継続的なケアを行い、落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等をする。
3. いじめられた子どもからの聴き取りが不可能な場合
ア 当該の子どもの保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者に今後の調査について協議し、調査に着手する。
イ 在籍している子どもや教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査などを行う。
ウ 自殺の背景調査における留意事項
亡くなった子どもの尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し再発防止策を構ずることを目指し、遺族の気持ちに十分配慮しながら行う。なお、「子どもの自殺が起きたときの調査の指針」(平成23年3月子どもの自殺予防に関する調査研究協力者会議)を参考とする。
(3) その他の留意事項
重大事態が発生した場合に、関係のあった子どもが深く傷つき、学校全体の子どもや保護者や地域にも不安や動揺が広がったり、時には事実に基づかない風評等が流れたりする場合がある。そのため、子どもや保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援に努めるとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。
1. 調査結果の提供及び報告
ア いじめを受けた子ども及びその保護者に対する情報を適切に提供する責任
(ア) 調査により明らかになった事実関係(いじめ行為がいつ、誰から行われ、どのような態様であったか、学校がどのように対応したか)について、いじめを受けた子どもやその保護者に対して説明する。
(イ) 他の子どものプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。
(ウ) 質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめられた子どもまたはその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭におき、調査に先立ち、その旨を調査対象となる子どもやその保護者に説明する。
(エ) 調査を行う場合においては、厚岸町教育委員会に情報の提供の内容・方法・時期などについて必要な指導及び支援を受ける。
イ 調査結果の報告
(ア) 調査結果については、厚岸町教育委員会に報告する。
(イ) いじめを受けた子どもまたはその保護者が希望する場合には、いじめを受けた子どもまたはその保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果の報告に添える。
2. 報道等への対応
重大事態が発生した場合、当該事案にかかわる情報収集の窓口を教頭として一本化するが、報道等へは校長が対応する。

10 その他

(1) 学校間の引継ぎ
指導上配慮を要する子どもの進学や転学等に際し、個人情報の取扱いに十分留意しながら、学校間の引継ぎを確実かつ適切に行う。
(2) 地域や家庭との連携
1. 本校のいじめ防止基本方針について、家庭訪問や学校だより、PTA総会や役員会などを活用するなど、地域や保護者の理解を得ることで、地域や家庭に対して、いじめの問題の重要性の認識を広めるとともに、家庭との緊密な連携協力を図る。
2. より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止めることができるようにするため、学校と家庭、地域が組織的に連携・協働する体制を構築する。