平成21年8月7日
厚岸町梅香1丁目
正行寺鐘楼は、明治41年(1908)に建立されました。国の重要文化財に指定されている正行寺本堂の北西に位置しており、その造りは、桁行一間、梁間一間の入母屋造りで、吹放ち鐘楼となっています。唐戸面取の方柱を四方転びに建ててあり足固貫と内法貫、頭貫、台輪で固めてあります。組物については三斗組で、中備に蟇股を配し、一軒疎垂木とし、格天井を貼っています。屋根は、建立当初はイチイ材の柾葺きでしたが、大正12年と平成20年に改修され、現在は銅板葺きになっています。
正行寺には、鐘楼(堂)の建設経過を記した「記録帳」が残されています。それによると、明治41年10月上旬に、当時、正行寺の総代を務めていた上田勘兵衛氏(鐘楼の虹梁内側には「維時明治四拾壹年拾月吉日鐘楼建築竣成・願主上田勘兵衛」の刻銘あり)が鐘楼を寄附することになり、大工四、五名で昼夜の別なく作業をこなし、同年同月に落成する運びとなりました。なお、鐘楼建立当時の梵鐘は、明治41年3月下旬に越中(現富山県)高岡市から運ばれてきたものです。その後、この梵鐘は第二次世界大戦中に供出され、現在ある梵鐘は昭和32年(1957)に製作されたものです。
このように、国指定重要文化財「正行寺本堂」の移築された年代(明治期)と同時期の建物であり、歴史的景観に寄与するものとして、平成21年8月7日に国の登録有形文化財として文化財登録原簿に登録され、その姿を今に伝えています。
厚岸駅よりバスで桜通り下車、徒歩3分
車の場合、厚岸駅より約3km
観覧希望の場合、事前に正行寺(0153-52-2443)に連絡してください。