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「国際交流とふるさと教育」~ふるさと教育を考える③~
5月25日に、姉妹都市中学生等国際交流事業(オーストラリア・クラレンス市との国際交流)に参加した10名の中高生の報告会が開催されました。生徒は、作文審査を突破し、半年間に及ぶ事前研修を経て、今年3月に7泊8日のオーストラリアでの交流事業に参加しました。報告会では、ホームステイでの経験を中心に、自分の英語が通じた時のうれしさや、習慣の違いによる戸惑い、受け入れてくれたホストファミリーの温かさ、そして何より、この経験をこれからの自分の生き方に結びつける発表に、多くの参加者から高い評価の声が上がっていました。
「教育長は、この事業でどのような力を身に付けさせたいのか、どのように評価しているか」と、問われることがあります。私は、本事業を通して、国際感覚を身に付けてほしいと願っています。国際感覚の基礎となるのは、ふるさと教育です。生徒は、10回以上に及ぶ研修の中で、オーストラリアのことだけでなく、厚岸の歴史や自然、文化、産業、観光のことなど、自分が育ってきたふるさと厚岸のことを改めて学び直し、ホストファミリーにその魅力を伝えています。その中で、何か日本の習慣と違うな、厚岸の食べ物と違うな、何か違うなと感覚的に感じることが国際感覚であり、その違い、具体的には、お互いの国の言語、文化、習慣、歴史観、肌の色の違いなどを理解し、それを尊重する姿勢が国際性だと思っています。そのためにも、自分の立ち位置、日本人であるということ、道民であったり、厚岸町で育ったという軸をしっかり育てる、それがふるさと教育の意義です。今回参加した生徒の多くは、英語に対する意欲の向上が見られました。同時に、ふるさと厚岸を大切に思う意識も高まったと話しています。ですから、国際交流事業は、諸外国を知るのと同時にふるさとを見つめ直す事業である点でも、有効な事業と評価しております。
国際理解教育とふるさと教育は、スケールの面からも対極に位置づけられるように思えますが、次代を担う子どもたちには、厚岸の産業から世界の経済を考えたり、温暖化や環境問題など地球規模の課題解決のために足元の生活を見つめ直したりするなど、つながりの中でよりよく生きる力を育んでいきたいと考えています。
令和7年7月 厚岸町教育委員会 教育長 滝川 敦善
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教育長就任あいさつ ~郷土に立ち、未来を見つめ、共に歩む人を育む~