教育長からのあいさつ

 

 

「子供技能木工ふれあい教室に参加して」~ふるさと教育を考える②~


 

 1月14日に木工ふれあい教室に参加させていただきました。町内の小学生もたくさん参加していて、説明書を読み解き、悪戦苦闘しながらスパイスラック(調味料入れ)を組み立てていました。

 周りの指導者(大工さん)は、子ども達の作業に手も口も出さず見守り、必要に応じて、木の支え方や、ネジの回し方などを指導してくれます。私も時間を忘れて作業に没頭し、楽しい時間を過ごすことができました。

 さて、この教室は、厚岸町の技能士会が主催となり、20年以上も前に子供と大人が一緒に木製のベンチを制作したことが始まりで、この木製ベンチは、今でも町内の学校で活用されています。

 現在子ども達は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、たくさんのデジタル機器に囲まれ生活しています。例えば、デジタルの世界では、家や城を建てたり、農園を作ったり、思いのままに自分の空間を作ることができるゲームやソフトなどがあります。バーチャル(仮想空間)の世界です。これからもますますデジタルの世界は進んでいくでしょう。

 しかし、バーチャルの世界からは、木の匂いや感触などは伝わってきません。本物のドライバーを使ってネジを回すこともありません。子ども達の育ちに最も大切な「感覚」は、現実の中での体験でしか育たないのです。だからこそ、感覚をフルに使ってものをつくる活動は、とても大切な経験となります。20年以上も前から子ども達に貴重な機会をいただいている技能士会のみなさまには、改めてお礼申し上げます。「子ども達に本物を伝えたい、もの作りの楽しさを伝えたい」そんな思いを持つ人が、厚岸町にはたくさんおられることを実感します。

 

 前回「ふるさと教育を考える①」の中で、「脈々と受け継がれる伝統・文化。それらが大切にされている町であることに誇りをもつ子どもが育ってほしい」と書きました。

 後から読み直すと、「それらが大切にされている町」よりも「それらを大切にしている人がいる町」のほうがふさわしいかなと考え直したところです。

 

令和7年1月

厚岸町教育委員会

教育長 滝川 敦善

 

 

これまでのあいさつ

教育長就任あいさつ ~郷土に立ち、未来を見つめ、共に歩む人を育む~

厚岸町の魅力・強みを教育に生かして

令和5年6月 日本建築家協会(JIA)25年賞受賞!~本の森厚岸情報館~

令和6年2月 訓練は誰のために

令和6年2月 教育委員会の本気が問われる部活動の地域移行

令和6年7月 「お祭りと愛着度」~ふるさと教育を考える①~