教育長からのあいさつ

 

 

教育委員会の本気が問われる部活動の地域移行


 

 

全国的に中学校部活動の地域移行が進んでいます。当町でも、部活動地域移行検討協議会における協議が進んでいますので、これまでの経緯とこれからのスケジュールをお伝えいたします。昨年7月に、スポーツ・文化団体の代表、教育関係者で構成する部活地域移行検討協議会が開催され、なぜ部活を地域に移行する必要があるのかから協議をスタートしました。

その要因は、主に3つです。

①生徒数が減少していること(厚岸町は、S62年と比べると1/4に減少)

②それに伴い部活動数も減少していること(部活の選択肢が少ない)

③教職員の働き方改革が進められていること

この3点は、全国どこの地域も同じ状況であり、いずれ中学校の部活動が立ちゆかなくなることが予想されることから、地域移行の準備を進めていくという出発点にたちました。そして、この問題は、当町においては少年団や高校も同様であることから、中学校の部活動をどうするのかではなく、厚岸で過ごす子ども達、そして、大人の生涯学習・生涯スポーツの視点で捉えていくことを確認しました。2回目以降からは、アンケート調査の分析や推進計画、予算の策定にあたって深い論議がなされました。この間、9月に北海道の地域移行アドバイザーに来町いただき、教職員や町民を対象とした研修会を開催しました。「部活の地域移行は、教育委員会が本気にならなければ進みません。」との話に、教育委員会の本気度が試される事業であることを再認識しました。10月から12月にかけて、すべての中学校の部活動の顧問、少年団の指導者、そして高校の部活動指導者と面談を行い、部活動の実態把握と地域移行への理解を求めました。このような中、総合クラブ化にむけて形が見えてきたのは、年末の会議でした。また、次年度、一部の部活動をモデルクラブとして指定し地域移行することも具体的な形として見えてきました。そのために、国が行う実証事業にも参加して道筋をつけることにしました。

 

検証する課題は山積しています。休日における大会の参加体制や引率体制では、指導者の大会の拘束時間、生徒の引率、大会役員業務など、これだけでも、指導者にとっては大変な負担です。また、その指導者の確保も大きな課題です。財政については、保護者負担や行政側の負担、そして指導者への報酬などがあげられます。これらは実証事業を通して検証し解決を図っていきます。一方、当町には、強みもあります。厚岸町内では、これまで少年団や団体の活動が活発に行われてきたこと。これは、受け皿としての可能性があるということ。また、生涯学習課が多様な事業を展開していて、子どもから大人まで多くの町民が参加していること。これも受け皿の1つです。さらにこれまで厚岸町では、少年団バスや部活バスを運行してきた実績があること。そして、運動面・文化面でも活動場所が調整しやすいこと。これらこれまでの実績や積み上げを活用してスムーズな移行を進めていくことが重要と考えています。

 

部活の地域移行は、正解のない事業です。これは、地域によって実情が違うからです。すでに多くの事例が全国、全道で報告されていますが、同じ人口規模の町村の実践事例は極めて少ない状況です。ですから、厚岸町の子ども達の実態や部活の状況を一番よく知っている先生方の意見や地域の実情を理解している地域指導者の意見を反映させてこの事業を進めていく必要があります。

 

今後のおおまかなスケジュールについては、状況に応じて変更もありますが、令和6年度は、モデルクラブを指定して、一部の部活動を土日に地域移行します。その成果をもとに、令和7年度には、すべての部活動の土日における活動を、地域に移行します。令和8年度には、一部の部活動において平日における地域移行を進めます。令和9年度以降は、全部活動の完全地域移行を想定しています。

 

現在、検討協議会は、何か形ができてから一斉に移行していくのではなく、できるところから進めていくというスタンスです。ですから、このスケジュールに関わらず前倒しで進むことも想定されます。また、移行についての課題解決が進まない場合は、じっくり協議を重ねることもあります。最終的には、当町における持続可能な生涯学習、生涯スポーツの環境を整えることをねらいとして、本事業を進めていきます。

 

 

 

令和6年2月

厚岸町教育委員会

教育長 滝川 敦善

 

 

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