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日本建築家協会(JIA)25年賞受賞!~本の森厚岸情報館~
この度、「25年以上の長きにわたり、建築の存在価値を発揮し、美しく維持され、地域社会に貢献してきた建築」として、本の森厚岸情報館がJIA25年賞を受賞しました。
この賞は多くの近代建築が、老朽化や維持の困難さ等から解体され建て直されていることが多い中、25年以上の月日を経過してもなお、地域に貢献し、地域の人々にとって意義のある建物となっていることが、大きな審査基準の一つとなっています。高知県の坂本龍馬記念館や鹿児島県の霧島国際音楽ホールなど錚々たる建築物の表彰に続き、本の森厚岸情報館が表彰を受けました。表彰式において受賞のコメントを求められましたので、私は、「3年前に他界された初代館長と本が大好きな町民の方々、そして、その思いを受けた設計者が、知恵を出し合い建設された情報館は、今なお情報の収集・発信の拠点として、町民に愛され、ご利用いただいています。開館して25年を経た現在でも、町民一人当たりの貸し出し冊数では、北海道内のトップクラスです。同じ人口規模の町村では全国トップクラスです。」とお話しさせていただきました。建物の設計、建築、維持、管理とともに、町民の情報館に対する思いや願い、これまでの活動などもご理解いただき受賞につながったことを喜びたいと思います。
話は変わりますが、先日新聞に目を通していると「町村4割図書館なし」との見出しが目にとまりました。地域の文化拠点となっている図書館の設置率の低さとともに、書店の閉店も相次ぎ、読書環境の空白域が全国的に広がっているとの報道に衝撃を受けました。スマートフォンやタブレットなどの情報端末の普及に伴い、情報が容易に手に入ることも要因の一つと考えられています。私は、この報道を「不易」と「流行」の視点、すなわち、本を読むといういつまでも変わらない読書の姿と、デジタル画面で読むという新しい変化を取り入れて読む姿、この両面でとらえることが大切だと感じています。現在、厚岸情報館では、電子図書の推進事業を進めていますが、これからも町民の方々が、本の森に囲まれ自分の好きな本を手に取って選ぶことができる環境を整えてまいります。
最後に、来町されたJIA25年賞審査員の講評の一部を抜粋させていただきます。 「町のひとたちの囲炉裏端のような発信基地として建築が人々を見守り、開館の翌年から走らせている図書館バスは、1日60キロも走行している。小さな公共空間だが地域の文化拠点として25年を経た建築が人々の記憶の中に根付いていることが感じ取れた。」
令和5年6月 厚岸町教育委員会 教育長 滝川 敦善
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