教育長からのあいさつ

 

%e9%85%92%e4%ba%95%e6%95%99%e8%82%b2%e9%95%b71386 「釜石の奇跡」から学ぶべきこと ~東日本大震災~

 

千島海溝や日本海溝沿いでマグニチュード9クラスの地震が高い確率でおこると言われています。6月24日、北海道が新たに公表した津波浸水想定によれば、厚岸町の最大津波は20.2メートルです。
===「まず自分が逃げる、それを見た周囲の人が逃げる、結果、人を助けることになる。逃げることは決して恥ずかしいことではないのです。」(ある大学教授の言葉)===
「その時」は突然やってきます。知識も施設もマニュアルも大切ですが、肝心なのは「とにかく逃げる」ことです。そのためには、訓練を重ねて頭と体に刷り込んでおくしかないと思います。
「釜石の奇跡」という言葉を覚えていますか? 東日本大震災で多くの尊い命が失われる中、岩手県釜石市では小中学生の99.8%が難を逃れました。
率先して避難したのは中学生でした。校内放送(地震で壊れていた)の指示を待つまでもなく、生徒たちは自主的に避難を始めます。途中、「津波が来るぞ」と叫びながら避難場所を目指します(それに促されて避難する住民もいました)。そして、避難場所の裏手の崖が崩れそうになっているのを見た生徒の提案でさらに高台に避難します。ある生徒は小学生の手を引き、ある生徒は幼児が乗るベビーカーを押して走ります。間もなく、さっきまでいた避難場所は波にさらわれます。市をあげて防災教育に取り組んだ最大の成果は、「率先して逃げる」児童生徒を育てたことだと思います。その結果、多くの命を救うことができたのです。
明治津波、昭和津波で甚大な被害を受けた岩手県のある集落には、「高き住居は児孫の和楽、想へ惨禍の大津波、此処より下に家を建てるな」の石碑が建っています。その教えを受け継いだ集落は、想定外と言われた大津波から難を逃れました。
東日本大震災の津波は、日本一の防潮堤を乗り越えました。想定外が起これば「モノ」は壊れます。しかし、頭と体に刷り込まれたことや先人の教えは壊れません。あれから10年。私たちは何を学び、何を身につけたか。そのことを自問して実践することが、亡くなった方々への供養になるのではないでしょうか。

 

 

教育長 酒井 裕之